家庭菜園で食費を浮かす

家庭菜園の限界に挑戦

たった独りの引き揚げ隊 石村博子著

終戦後の満州。日本人とロシア人のハーフ、ビクトル(古賀正一)少年は引揚げ隊から外れたった独りで日本を目指す。山下泰裕も指導した41戦オール一本勝ちのサンボの達人、後のビクトル古賀はこう語る。

『俺が人生で一番輝いていたのは10歳だった』彼は当時10歳で満州から日本を目指した。

その道中とは・・・。 『独り歩きを始めて間もなくのことだった。この時ビクトルは、線路からそう遠くない草深いところを歩いていた。視界に六、七人の親子連れが入ってきた。~木立の枝が激しく揺れた。あっと思う間もなく、10人以上の男たちがそこから一斉に飛び出してきた。反射的にビクトルは草の合間に身を伏せた。男たちは手にしたスコップを振り上げて、親子連れに襲い掛かった。皆、現地の中国人である。殴打する鈍い音と同時に悲鳴があがった。腹ばいになったビクトルには、殴るつける男たちの姿しか見えない。叫び声が耳を襲った。やめてよ。やめてよ。~ようやく殴り終えた男達は、奇声をあげて死体を蹴飛ばした。そしてスコップの柄に奪った荷物をぶら下げ、笑いながら線路をまたいで立ち去って行った。人の気配が完全に消え去るのを待ち、さらに間をおいてからビクトルは立ち上がって線路へ走った。身ぐるみ剥がされ、ほとんど裸になった女子供が折り重なって倒れている。女の人の丸くて真っ白いお尻が目に飛び込んだ。あたりには血が飛び散り、塩辛いいやな臭いが漂っている。子供の目玉の部分には、もうすでにびっしりとハエがたかっていた。』

 

コサックの血をひくビクトル少年の命がけの引揚げ。 彼の経験した事象から近現代史の全てが透けて見える。

関東軍、アヘン、里見甫、電通東京オリンピック

 

妖しげな惑珍に導かれる我々の旅路。目指すべき故郷はもうないのかもしれない。